Fender Bassman 100T Owner's Manual - page 39
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Fender オートマティック・バイアス
Fender オートマティック・バイアス
数多くのミュージシャンが真空
管のリッチで豊かなトーンを渇
望する一方で、度々メンテナン
スや修理の必要がある、ガラス
の真 空 管を搭 載した重いアン
プに躊躇します。オートマティ
ックバイアスは、真空管の寿命
を最大限に延ばし、最高のパフ
ォーマンスを確証することで、
ミュージシャンがその本分である音楽に集中できるよう作られまし
た。
バイアス ‒ バイアスとは? その重要性とは?
各真 空 管に流 れるアイドル電 流は、バイアス設 定によって決まり
ます。言い換えれば、バイアス設定によって(WARM/NORMAL/
COOL)、アイドルタイム(アンプを演奏していない状態)にどれだけ
の電力が各真空管に流れるかを決定します。
真空管は複雑な装置で、安定した製造が困難です。そのため、真空
管は性能の特徴を検査され グレード に分類されます。同じグレー
ドの真空管は同じバイアスに設定できますが、それは伝統的な真空
管アンプ(Fenderのオートマティック・バイアスのないもの)では、
すべての真空管を同じタイミングで同じグレードの マッチした セ
ットに取り替える必要性からです。 さらに、新しいマッチしたセット
を、古いマッチしたセットと交換する際には、サービスセンターへ持
ち込みバイアス調整をする必要が生じます。
Fenderオートマティック・バイアスは各真空管の状態を個別にモ
ニターし調整します。真空管が故1本障した際に、すべての出力真
空 管をマッチしたセットと交 換する必 要はありません。1本 の真
空管が故障した場合同じ型式の真空管と交 換しますが、グレード
はアンプに取 付けられているそ のほか の 真 空 管と同じである必
要はありません。真 空 管 のグレード・システムについて 詳しくは
www.groovetubes.com
をご参照ください。
バイアス設定はアンプのトーン、ダイナミクス、真空管の寿命、電力
消費に以下のように影響します:
WARM: よりアグレッシブな(ダーティな)トーンになり、アタッ
クが速くなります。真空管の寿命は短かめになり、より多く電力
を消費します。
NORMAL: 通常の設定です。トーンと真空管の寿命のバランス
にすぐれています。
COOL: アグレッシブさを抑えた(クリーン)トーンで、アタック
はなだらかになります。真空管の寿命は長く、電力消費は低くな
ります。
真空管バイアスの調整:
ADJUSTボタンのアップ/ダウンを押して、WARM/COOLの設定
をします。各ボタンをNORMAL設 定から5回押した状態が、バイ
アス調整の最大レンジになります。バイアスのレンジは (各真空管)
23ミリアンペア(COOL) 〜 33ミリアンペア (NORMAL) 〜 39
ミリアンペア(WARM)です。 調整の間アンプをスタンバイにしてお
く必要はありません。 調整が完了するまで、10-20秒ほどかかりま
す。調整が完了すると、LEDの点滅が止まります。
注意: アンプのリッチなトーンを保つため、Fenderオートマティック・
バイアスはアンプ演奏中は調整を行いません。Fenderオートマティ
ック・バイアスは、アンプがアイドル状態の時や、非常に小さな音量
で演奏されている時を待って調整をします。
上向きの矢印と下向きの矢印を同時に押すと、バイアスを工場出荷
状態にリストアします(NORMAL)。以前取付けていたものと違う
グレードの真空管を、セット丸ごと取付ける際には、常にバイアス設
定のリストアを行ってください。
出力真空管ステイタス LED インディケーター:
Fenderオートマティック・バイアスにはLEDインディケーターが各
出力真空管に1つずつ、アンプ背部の左から右に向かって取付けられ
ている各出力真空管の位置と対応して搭載されています。これらの
LEDには出力真空管の現在の状態が反映され、トラブルシューティ
ングや修理の際の助けになります。以下はLED表示機能の定義です:
グ リ ー ン の L E D
が 左 から 右 へ 移 動
する:
真 空 管はウォーミングアップ中です。常に一 分 間以 上待ってか
ら、アンプのスタンバイ・モードを解除してください。
注意: 一分間経過するより前にSTANDBYスイッチをオンにし
た場合 (非推奨)、一分間のウォームアップ期間が終了するまで、
ディスプレイの状態は更新されません。
LEDが緑色に点灯:
真 空 管 はO K で、望ましい バイアス・レベ ルで 動 作しています
(WARM/NORMAL/COOL)。
LEDが緑色で点滅:
対応する真空管のバイアスを調整中です。調整を完了するのに最
長で20秒程度かかります。
注意: LEDの点滅が5分以上続く場合は(電源を入れた後または
バイアス調整の後)、その真空管は劣化しており交換の必要があ
ります。
LEDがオレンジ色:
真空管は劣化しており、同じレーティングの新品と交換する必要
があります。
2 つ の ペ ア の う ち
(1A/1B、2A/2B)
一方のLEDが赤く点
灯し、もう一方がオレ
ンジ色に点灯:
LEDの赤く点灯している真空管が故障しており、交換の必要が
あります (詳しい交換方法は次のページの"真空管の交換 の項
をご参照ください)。オレンジ色に点 灯しているLEDは遮断さ
れ、アンプは他の真空管ペア(緑のLED)によって安全に動作し
ます。
注意: 真空管が故障した場合も、残りの2本の真空管でアンプを
安全に使用し続けることができます。ただし出力量は下がり、性
能を最大限発揮するためにはスピーカー・インピーダンス・スイッ
チ{S}をトータルのスピーカーインピーダンスの1/2に設 定しま
す。例えば、接続しているスピーカー・システムが4Ωの場合、真
空管故障時は {S}を2Ωに設定します。
2 つ の ペ ア の
( 1 A / 1 B 、
2 A / 2 B ) 両 方 の
LEDが赤く点灯:
信号レベルが高い状態で真空管が故障した場合、Fenderオート
マティック・バイアスはどのペアのどちらの真空管が故障したの
か判断がつかず、両方のLEDを赤く表示する場合があります。こ
のような状態でもアンプは安全に使用できますが、出力を低減し
て動作します (上記と同じ状態です)。
修理には2つの選択肢があります(真空管の交換手順は 真空管
の交換 の項をご参照ください):
1) LEDが赤く点灯した両方の真空管を、適合したヒューズ{BB}
とともに交換する。
-または-
2) トラブルシューティングをして、壊れた方の真空管のみを交
換する。真空管を両方交換するのが現実的でなく(例:ライブ
中など)スペアのヒューズがある場合は、これが最良の方法で
す。
a. LEDが赤く点灯したペアの真空管両方を、新品もしくは状
態の良い真空管と交換する。取り外した真空管は、故障して
いない可能性もあるため、捨てずに保管しておきます。
b. 同じ型式およびレーティングの、適した真空管ヒューズ{BB}
と交換する。
c. 電源{M}をオンにし、アンプを最低1分間スタンバイ{N}状態
にする。
d. アンプのスタンバイ・モードを解除し、10-15秒間、Fender
オートマティック・バイアスが診断をし、ディスプレイのステ
ータスが更新されるまでお待ちください。
e. すべてのLEDが緑色で、問題のある真空管は交換されてい
ます(取り外した真空管は適切に廃棄してください)。
f. 2つのLEDがまだ赤く点灯している場合、取り外した真空管
は問題の無い方です。取り外した真空管は取っておき、手順
gに進みます。
g. LEDの赤く点灯している真空管ペアのうち、最初に取り外
したもので無い方を取り外し、手順aで取り外した真空管を
取付けます。手順b-eを繰り返してください。
h. もしまだLEDが赤く点灯し続けていたら、真空管は2つと
も故障しています。手順g以降で作業を行った真空管を、新
しいものと交換してください(取り外した真空管は適切に廃
棄してください)。手順b-eを繰り返してください。
す べ て の L E D が
赤 あ る い は オレン
ジ色:
複数の真空管が故障しており、アンプから音が出なくなります。
各真空管ペアを上記の要領で修理してください。この現象が起こ
る可能性はかなり低いでしょう。
注意: いずれかの真空管が無い場合は(装着されていない)、その
真空管のLEDはオレンジ色になります。そのような真空管ペア
は、ペア自体がないものとしてオレンジ色に表示され、Fenderオ
ートマティック・バイアスは真空管の故障を感知しません。
WARM
NORMAL
COOL
OUTPUT TUBE STATUS
AUTOMATIC BIAS
PATENT PENDING
2A 1A 1B 2B
ADJUST